建設業許可とは、建設業法に定められており、一定の要件を備えた者に国や都道府県が許可を与える制度です。建設工事の完成を請け負うことを営業とする場合は、例外的な場合を除いて、許可区分ごとに、また業種ごとに許可を受けなければなりません。建設業の許可を受けるための流れは以下のようになります。
建設業を始めようとする場合(建設工事の完成を請け負うことを営業とする場合)、必ずしも許可が必要なわけではありません。
ただし、許可を受けないで請け負える建設工事は「軽微な建設工事」のみになります。つまり、常に「軽微な建設工事」のみを受注する建設業者であれば許可を受ける必要はありませんが、「軽微な建設工事」以外の工事を請け負う場合は許可が必要になります。
「軽微な建設工事(=許可を受けなくても請け負うことができる工事)」とは、下記に該当する工事となります。
1件の請負代金が消費税込みで500万円未満の工事
①1件の請負代金が消費税込みで1,500万円未満の工事 ②請負代金の額に関わらず延べ床面積が150㎡未満の木造住宅工事
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「軽微な建設工事」に該当するかどうかをチェックするには、まず請け負う工事がAかBのどちらに該当するか、つまり建築一式工事かそれ以外かを考えます。
1件の請負代金が消費税込みで500万円未満の工事であれば、「軽微な建設工事」となりますので許可は必要ありません。
最初に①に該当するかどうかを考え、該当すれば(1件の請負代金が消費税込みで1,500万円未満の工事であれば)「軽微な建設工事」となりますので許可は必要ありません。①に該当しない場合(1件の請負代金が消費税込みで1,500万円以上の工事の場合)は、次に②に該当するかどうかを考え、②に該当すれば(延べ床面積が150㎡未満の木造住宅工事であれば)「軽微な建設工事」となりますので許可は必要ありません。
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建設業法違反となります。許可を受けないで許可が必要な建設業を営んだ者は、無許可営業として3年以下の懲役又は300万円以下の罰金に処せられます。また、建設業許可を受けていない業者と下請負契約を締結した業者も建設業法違反となります。
違いはありません。「軽微な建設工事」以外の工事を請け負う場合には、元請であるか下請であるかに関係なく許可を受ける必要があります。また、個人であるか法人であるかも関係ありません。
許可取得後、建設業の許可を受けた建設業者は建設業に関連する変更があった場合は許可行政庁に対して変更の届出をする必要があります。また、建設業許可の有効期間は5年間ですので、引き続き営業を行う場合は更新の手続きをすることが必要になります。
■変更届
届出なければいけないものとしては、大きく分けて以下の2つがあります。
決算変更届は事業年度終了後4ヶ月以内に必ず毎年提出しなければなりません。
下記事項に変更があった場合は各届出期限までに変更届を提出しなければなりません。
変更後2週間以内
経営業務の管理責任者の変更等 変更後2週間以内
専任技術者の変更等
国家資格者・監理技術者の変更等
令3条使用人の変更等
変更後30日以内
営業所・役員に関する基本情報の変更等
■更新手続き
建設業許可の有効期限は5年間とされており、引き続き建設業を営業する場合は期間満了の30日前までに更新申請の手続きが必要となります。5年ごとの更新を怠ればその許可は失効してしまい、営業することができなくなりますので注意が必要です。
建設業の許可は、許可を受けようとする者がどのように建設業の営業所を置いているかにより、都道府県知事許可または国土交通大臣許可に区分されます。また、請け負う工事について下請けに発注する金額の多寡により、特定建設業許可または一般建設業許可に区分されます。なお、同一の建設業者が都道府県知事許可と国土交通大臣許可の両方の許可を取得することや、同一の業種について特定建設業許可と一般建設業許可の両方の許可を取得することはできません。
1つの都道府県に営業所を設ける場合
2つ以上の都道府県に営業所を設ける場合
発注者から直接請け負った工事を施工するときに、消費税込みで合計4,000万円以上(建築一式工事では消費税込みで合計6,000万円以上)を下請けに出す場合
上記以外の場合
「営業所」とは、本店若しくは支店又は常時建設工事の請負契約を締結する事務所をいい、一般的には次の1~4の条件を満たしていることが必要となります。したがって、建設業に全く無関係な事業所はもちろん、建設業と関係があったとしても単なる登記上の本店、連絡所、資材置場、臨時で設置されている工事事務所、作業所などはこの「営業所」には該当しません。
本店又は支店は常時建設工事の請負契約を締結する事務所でない場合であっても、他の営業所に対し請負契約に関する指導監督を行うなど建設業に係る営業に実質的に関与する事務所であれば「営業所」に該当します。
山形市も新庄市も同じ山形県内ですので、知事許可となります。
知事許可と大臣許可の区分は、建設業を営む営業所がどこに置いてあるかという許可制度上の分け方です。したがって、知事許可であっても他県で工事ができないわけではなく、他県の現場であっても必要な技術者を配置して施工することができます。
特定建設業の許可は、直接請け負った元請業者のみが必要とされますので必要ありません。
建設業法では建設工事を2つの一式工事と27の専門工事に区分しています(平成28年6月1日より新たに「解体工事業」が29業種目として追加されました)。建設業を営む場合には、その営業する業種ごとに建設業の許可を受ける必要があります。なお、同時に2つ以上の業種の許可を受けることも可能です。
29業種のうち「土木一式工事」と「建築一式工事」の2つの一式工事は、総合的な企画、指導及び調整の下に土木工作物又は建築物を建設する工事で、その中には複数の専門工事を組み合わせて構成される工事(例えば住宅の建築での大工工事、左官工事、屋根工事、電気工事等を組み合わせた工事)のほか、単一の専門工事であっても、工事の規模や複雑性から判断して個別の専門工事として施工することが困難な工事も含まれるとされています。
一方、専門工事は、土木工事や建築工事の工程や作業を細分化したものであり、左官工事、屋根工事、塗装工事等の工事内容の専門性に着目して区分された個別の工事種類で、一式工事を除く建設工事のことをいいます。
できません。一式工事の許可はどんな工事でも請け負えるといった万能な許可ではありませんので、個別の専門工事の許可が必要となります。
「軽微な建設工事」以外の専門工事を請け負う場合には、工事の種類に応じた専門工事の許可が必要になりますが、一式工事の許可のみをもっている者が一式工事として請け負う工事の中に専門工事が含まれる場合は、その専門工事業の許可を持たなくても施工することができます。
ただし、その専門工事についての主任技術者の資格要件を満たす者を専門技術者として配置して施工することが必要になります(受注した一式工事の主任技術者や監理技術者との兼任可能)。もし主任技術者を置くことができない場合は、その専門工事業の許可を受けている建設業者に下請けさせるなどして当該工事を施工することになります。
設業の許可を受けるためには絶対的な5つの要件があります。これらの5つの要件を満たさずに許可を取得することはできませんので、まずは5つの要件を満たしているかチェックしてみましょう。
経営業務の管理責任者とは、許可を受けようとする建設業に関し、建設工事の施工に必要な資金の調達や技術者の配置、契約の締結等の経営業務を管理する責任者をいいます。
専任の技術者とは、営業所に常勤して、専ら請負契約の締結やその履行の確保のための業務を行なう者をいいます。
軽微な建設工事以上の工事を請け負えるだけの資金を確保していることが必要になり、この判断基準として一定額の財産の有無が審査されます。
申請者が法人の場合はその法人・法人の役員等・令3条の使用人、個人の場合はその本人・支配人・令3条の使用人が欠格要件に1つでも該当してしまうと許可が受けられません。
「誠実性を有すること」とは、請負契約に関して「不正又は不誠実な行為」をするおそれが明らかな者でないことをいいます。
以下のような場合は新規申請になります。
現在、有効な建設業許可をどこの許可行政庁からも受けていない場合
他の都道府県知事許可から山形県知事許可に変更する場合
山形県知事許可から国土交通大臣許可に変更する場合
国土交通大臣許可から山形県知事許可に変更する場合
一般建設業許可のみを受けている者が特定建設業許可を申請する場合
特定建設業許可のみを受けている者が一般建設業許可を申請する場合
建設業許可の有効期間満了後も引き続き営業する場合は更新申請が必要です。
有効期間満了の30日前まで(有効期間5年間)
以下のような場合は業種追加申請になります。
建設業許可を受けた建設業者は、事業年度終了後に決算変更届を毎年提出する必要があります。
事業年度を経過したとき
事業年度終了後4か月以内
経営業務の管理責任者が交代したとき
経営業務の管理責任者を追加したとき
経営業務の管理責任者を削除するとき
事実発生後2週間以内
専任技術者を追加するとき
専任技術者の担当業種・有資格区分に変更があったとき
専任技術者を削除するとき
事実発生後2週間以内
営業所を新設・移転したとき
⇒同時に令3条使用人の変更、専任技術者の変更も必要になります。
営業所を廃止したとき
⇒同時に令3条使用人の変更、専任技術者の変更も必要になります。
営業所の業種を追加したとき
⇒同時に令3条使用人の変更、専任技術者の変更も必要になります。
営業所の業種を廃止したとき
⇒同時に専任技術者の変更も必要になります。
商号名称の変更をしたとき
資本金額(出資金額)を変更したとき
代表者の変更があったとき
役員等の就任があったとき
役員等の辞任又は退任があったとき
支配人の就任があったとき
支配人の退任があったとき
事実発生後30日以内
令3条使用人を追加するとき
令3条使用人に変更があったとき
事実発生後2週間以内
平成28年6月1日よりとび・土工工事業から解体業が独立し、新たに29業種目として「解体工事業」が新設されました。これにより「軽微な建設工事」以外の解体工事を請け負う場合には「解体工事業」の許可が必要になります。ただし、経過措置として施行日(平成28年6月1日)時点において、とび・土工工事業の許可を受けて解体工事業を営んでいる建設業者は、施行日から平成31年(2019年)5月31日までの3年間は解体工事業の許可を受けずに解体工事を施工することができます。
平成31年(2019年)6月1日以降も解体工事業を営む場合は、平成31年(2019年)5月31日までに解体工事業の業種追加申請をする必要があります。
以下のすべてに該当する場合に解体工事業の許可が必要になります。
解体を伴う新設工事の場合は、解体工事は附帯工事になるため、各専門工事又は一式工事で施工することになります。また、解体のみであっても各専門工事で作ったものを解体する場合は専門工事となります。
経過措置として、施行日(平成28年6月1日)前のとび・土工工事業に係る経営業務の管理責任者としての経験は、解体工事業に係る経営業務の管理責任者の経験とみなされます(下記1)。したがって、解体工事業の経営業務の管理責任者になるための要件は以下のいずれかに該当する者となります。
解体工事業の専任技術者の要件については以下になります。
(1)監理技術者(特定建設業許可の専任技術者)の資格等は次のいずれかに該当する者
(2)主任技術者(一般許可の専任技術者)の資格等は次のいずれかに該当する者
(※1)
1級土木施工管理技士、2級土木施工管理技士(土木)、1級建築施工管理技士、2級建築施工管理技士(建築、躯体)の平成27年度までの既存合格者については、解体工事に関する実務経験1年以上又は国土交通大臣の登録を受けた講習(登録解体工事講習)の受講が必要になります。
(※2)
技術士については、当面の間、解体工事に関する実務経験1年以上又は国土交通大臣の登録を受けた講習(登録解体工事講習)の受講が必要になります。
施行日から平成33年(2021年)3月31日までの5年間は、とび・土工工事業の技術者(既存の者に限ります)も解体工事業の技術者としてみなされます(経過措置)。
ただし、「みなし技術者」であるため、経過措置期間内(平成33年(2021年)3月31日まで)に以下のいずれかの対応をしなければ、平成33年(2021年)4月1日以降は本来の解体工事業の技術者とはなれず、解体工事業の許可を失効することになりますのでご注意下さい。